ノープランNZ旅行記 22日目 其の壱
22日目(2023/1/3)
前日の夜は頑張ってテカポ湖からプカキ湖の一番近いフリーキャンプ場まで歩いた。
着いたのは夜の23時…結局7時間近くも歩いた。
距離にして30kmほど…頑張り過ぎた。
けれども、夜はとても綺麗な星空が見えた。
一回やってみたかったこと、星空を見ながら寝る事。それをすることができた。
テントを張らなくてそこまで寒くは無かったな。
SOLの内側が結露して少し冷たかったくらい。下もレインウェアを履けば寒さは大丈夫そう。
ただ、自分が動いた時に発する音ににさえビビって、ほとんど寝られなかった(笑)
でも、外で寝たこと、テカポ湖から歩いてきたことは良かった。
夜、外で寝るのが不安で朝が来るのが待ち遠しかった。
今思えば、初めてのことだし不安に感じるのは当たり前の感情だろう。
一方で、朝の4時頃まで星が見えた。2時か3時頃が一番綺麗だったかもしれない。
5時頃には空が明るくなってきて、気持ち的に安心した(笑)
この日の朝は5時半頃に出発した。
この頃は、まだMt Cookまで歩いて行くこと、14時間歩く気満タンだった。
距離にして70km弱。
今思えば、無知というのは恐ろしい、、、というより、ある意味では最強かも。怖いもの知らず。
が、道が車道…しばらく車道の脇を歩き、車が高速でビュンビュンすぐ隣を走っていく。
怖い…死にそう。と思った。
途中から自転車道を見つけ、そこを歩いていった。
そこからは、ドラクエみたく道を探しながら進んでいった。
途中、テントで人が寝てる脇を通って、そこにいた犬に吠えられた(苦笑)
しばらくは自転車道を歩き、快適に順調に歩けた。この時はまだ楽しめていた。
Mt Cookらしき雪山も遠くに見え、それもモチベーションになっていた。
歩き始めてから3時間くらい歩いた頃だったかな。自転車道が無くなってしまった。
その代わりに、湖沿いを歩く道があったので行ってみた。
20分ほどその道を歩いていくと、ガチの森に突入した。
Googleマップには道はあるけど、整備されてなくてどの方向に進めばいいのか全然分からんかった。
これは迷うやつ、と思って引き返した。
急がば回れ。この時の時間ロスがこの先の良いことにつながる!そう信じて。
その後自転車道は無くなり、再び車道の脇を歩いた。
歩いていると鳥やウサギの死体がたくさんあって、都度手を合わせていった。引かれて可哀想…と思ったから。
「100kmも出さなければ動物を避けれるだろうに、みんな余裕が無いからなのか。」
そんなことを考えていた。
「そもそもスピード出す必要性とは?」みたいなことを悶々と考え、時には憤りながら歩いていた。
人が歩いた形跡は車道脇にはなく、最初は「俺が道を切り開く!」なんて強気でいたけど、ビュンビュン飛ばす車にビビり始めた。
ここの制限速度は120km。そりゃあ怖いと感じて当然だ。
一番ビビったのは、俺のすぐ脇で車線変更されたこと。しかも2回。2回死んだ気になった(笑)
NZは日本と同じ左車線だから、右側の道路脇を歩いて、前から車が来たら端のほうに行く、という”戦略”を取って歩いていた。
ただ、車線変更を近くでされる、という考えが無かった。だから、初めてそれに遭遇した時は心臓が飛び出そうになった。
何が安全なのか、もうわからなかったから、とりあえず運を天に任せて歩いた。
途中から、また別の戦略を思いついた。
向かいから車が来たら、立ち止まってバックパックを車道に向けることにした。
そうすることで万が一、車が突っ込んできても、バックパックがクッションになって自分が負傷するリスクを減らせそうだと思ったから。
リスク管理大事だし、と思いつつ。
その後、12時くらいになった頃だったかな。
朝から7時間くらい歩いて「あと9時間ここから歩くのか」と思うと、気持ち的にかなりしんどくなってきた。
しかも、足の裏に水膨れができ始め、歩くたびに痛みを感じていた。
それまでは、「キープ スモールウォーク」を合言葉に一歩一歩地道に歩いてきたけど、
足が痛いこともあって「本当はどうしたいか?」を自分に聞いたら「もう歩きたくない」というのが本音だった。
というか、この問いかけをするだいぶ前から、「車が止まってくれて乗せてくれないかな」という淡い期待をしていた。
「テカポ湖からMt Cookまでの100kmを歩いた先に何がある?」とさらに自分に問いかけた。
「確かにそれはすごいけど、ここまででも十分やったよね?」と。
「何のために長距離を歩くのか?『すごいね』と周りから言われたいから?」そんなことも考えた。
それとも、100km歩いた、と自慢げに言いたいから?
それまでは
「今回歩くことにしたのは、手持ちの食料と水で死なないとわかった前提で決めたこと。ルートバーンを歩くことを決めた理由とほぼ同じだ。
自分に対するリスク(死)が少ないと判断して、自分が今できる範囲で何かを”最後までやり切る”のは良い事だ。」
と思っていた。
ただ一方で、一度決めたらしんどくても無理してどうにかやろうとしてしまっていた。我慢してでも。
これまでの人生において、そういう場面が多かった。
それは良くないと、この時に思った。
だから、一度決めたからといって、必ずしもやり切らなくても良い、しかも我慢してまで。
特にこれからは、辛い時や自分には難しいことは、人に頼るという選択をしていく方が良いよな、
という思考に方向転換をして、ヒッチハイクすることに決めた。
「期待なんかしていても誰も止まってなどくれない。自分から行動しないと。」
そして、すぐに始めた。
其の弍へつづく