Nelson Hiking:Rocks Hut編 其の参
Browing Hutからの道は、それまでの整備された道に比べると、より山道になった。
Browing Hutを出発してから1時間強歩いた頃に、開けたところに出た。
山頂だったと思う。
地図で調べてみたら、Totara Saddleという場所のようだ。
ちなみにSaddleというのは、山々が連なっている間の窪みのような場所のこと。
このエリアをしばらく気持ちよく歩き、また森の中へ入っていった。
そこからの道が割と歩くことが大変だった。
道自体が歩きにくいところもあったし、方向を示すマーク(△のプレート)が見つかりにくい場所もいくつかあった。
こういう状況は一年前のトレッキングでも経験していたから、落ち着いてはいられた。
ただ、途中で文字通り”茂みの中を通る”ような場所が結構あり、足元を見て「人が通ったな」と認識しながら歩くことが多かった。
これが結構しんどかった。物理的にもそうだし、気持ち的にも。
茂みを抜けた後に大抵△プレートがあったので、「この道が正解だった」と思えたけど、不安がゼロにはならない。
あと、案内看板が全くなかったことも、不安要素の一つだった。
Browing Hutから歩いてきて、1時間後くらいの場所に「Rocks Hut → 4hr 1/2」との看板を見て以来、看板を見ることがなかった。
△に従って歩いているから、どこかには辿り着くとは思っていたけど、その場所がRocks Hutなのか、あとどれくらい時間がかかるのか、ということが気になっていた。
日が落ちるのは21時近いから、暗くなるまでの時間はまだまだあった。
だから、暗くなる前にどこかに到着はできる、と思ったけど、なかなか不安が消えることはなかった。
とは言え、「すごく不安でしょうがない」という感じでは無かった。
「そのうち、どこかには着くだろう」という楽観的な考えの方が大きかったので、楽しんで歩けていた。
途中、歩く速度が速くなっていた事に気づいて、早く着きたいと思う気持ちがあるな、とは思ったけど(笑)
良かったことは、歩いている最中にもTe Araroa(TA)を歩いていたハイカーさん二人と話せたこと。
話した感じ、二人とも英語が母国語の国の人っぽかった。そして、二人とも北島から歩き続けていた。
このやりとりを通じて「自分もTAを歩きながら、歩いている人から話を聞いて文章にするのも面白そう」とふと思った。
さらに、ロングトレイルのように、今回の僕のようにロングトレイルでなくても、
基本的に一人で歩いている時には、途中で出会って話をすることは心強いし、気分転換にもなるな、と思えた。
そして、「いつか僕もTAを歩きたい」「今回はいい練習になるな」そう思った。
ちなみに、なぜ歩きたいのか、という問いを投げかけたけど、はっきりとした答えは出なかった。
ただ、TAを歩いていると聞くとテンションが上がるし、ワクワクした気持ちになる。
これって、共通趣味(僕にとっては音楽や漫画)を持っている人と出会った時と同じ感覚だ。
そう考えると、心のどこかで「同じ”好き”を持つ仲間」を欲しているのかな、とも思った。
其の肆へつづく