ノープランNZ旅行記 21日目 其の弍
バスが走る道はだいたいまっすぐだった。
そして、左右の窓から見える景色は広い草木。草原のような牧草地だったり、木が生い茂っていたり。
クィーンズタウンやグレノーキーのような山は見えず、ただただ広い大地が広がっていた。
遠くに山々が見えた、遥か遠くに。バスの窓から見て、高さは10~15cmくらいだろうか。
進行方向右手だけ。左側には山は見えない。
左斜め前に座っている女性たちがずっと話していた、絶え間なく。
知り合いではないと思われる二人、片方が後から乗ってきたから。
「あんなになぜ話していられるのか、理解できない。ダメじゃないけど、話し続けることが理解できない。」
何をそんな話すことがあるんだろう、と。
そんなことを考えていた。
「前から思っていたけど、そういう人の心理がどうなっているのか知りたい。」
(この時は、周囲の人に対してこういうことをまだ考えていた)
出発してから1時間ほど、トイレに行きたくなってきた。
「朝コーヒー飲んだからかなー」なんて思っていたら、新たな乗客を乗せるためにバスが止まり、
その近くにトイレがあった!
迷わずすぐに降りて、運転手に「トイレ行っていい?」と聞いたら「2分だぞ!」みたく言われて、ダッシュで用を足してきた笑
「Well Done!!」
これでしばらくは落ち着いてバスの旅ができる、と思った(笑)
バスの中でふと思ったこと。
今の手持ちの荷物があれば、しばらくは死ぬことなくね?と。
濾過器があるから、浄水されていなくても水の確保ができる。
食料も少しは持ち合わせてるし、仮に数日食べなくても死ぬことはない。
テントも寝袋もあるし、ダウンジャケットも持ってるから、暖は取れる。
そう思えたら、しばらくテント泊してもいいかなって思った。
だから、宿が取れなくても全然大丈夫だなと思えるようになった。
「テントで寝る時に蚊帳の中に入れるものも最低限にして、出入りの回数も減らせば虫も入って来づらいし。
そうすればテント泊も苦じゃない。そう考えると少しだけ楽しくなってきたかも。」
クライストチャーチから出発してから2時間ほど走った後、Geraldine というところで休憩した。
予定ではあと1時間ほどでテカポ湖に着く。
この辺りから曇ってきた。
小さな丘がバスの窓からに見えるようになってきて、それまでと少し景色が変わってきた。
”絶景ポイント”という看板の後、右手に青い花畑が広がっていて、とても綺麗だった。
小さい花のようだけど、なんの花だったんだろうか。
ラベンダーとは違う、明るい青。日本でも道端でよくみる小さい青い花(オオイヌノフグリ)に似ている色だった。
もう少しでテカポ湖に着くんじゃないか、という頃合いに雲が晴れてきた。
遠くに雪のかかった山々が見えた。クィーンズタウンやグレノーキーで見たそれと同じ感じだった。
バスはその山の見える方に向かってまっすぐに進んで行った。
其の参へつづく